第3回「インターネットが拓く新・福音宣教」報告

signis_internet2-1カトリックメディア協議会(SIGNIS JAPAN、会長:千葉茂樹、事務局:カトリック中央協議会広報部内)主催の「SIGNIS JAPANセミナー<教会とインターネット>」の第3回「インターネットが拓く新・福音宣教」が、2005年2月26日(土)、東京都品川区のカトリック 目黒教会で行われた。

開会の辞 お祈り:晴佐久昌英神父  
挨拶 会長:千葉茂樹
第1部 講演
日本FEBC社長 小林 八郎氏「インターネット放送局 新・福音宣教」
日 本FEBC の紹介・・日本語放送で、AMの電波に乗せて午後9:30 から日本向け放送を毎日提供している。3年前より、電波障害の心配の要らないインターネット放送を開始した。手紙をたくさんいただくが、現在はメールの方 が多い。長いメールもあり、そこから一つの叫びを感じる。自殺をほのめかす訴えかけもある。
ペルーの女性大学院生からのお便りに、「読む」と「聴く」ことには大きな違いがあり、聴くことには人格的な出会いを感じる、とあった。イエスの世界も語りかけの世界であった。
救いを必要としている人は教会に来ることができない人の中に多くいる。淀川キリスト教病院の精神科医の先生によれば、本当に病んでいる人は病院には来ない。教会も同様ではないか。
FEBCの番組制作に際し、まず行ったことは聴取者の手紙を読むことであった。そこから、多くの人が教会に行く、行かない、を問わず、本当に救いを待っていることが分かった。
横糸は、自分と本当に共感してくれる人を求めていること、縦糸は、福音であり、「教え」ではない、イエス・キリストご自身に与ること、によって織っていくことが必要である。
ある時、放送伝道をしている方から、教会の入り口に案内することが使命、と言われた。しかし、FEBCは違う道を行かなければならない、と思った。FEBCは、キリストご自身との出会いが、今ここにある、ということを考えて番組を提供している。
番組には岩島忠彦 神父様にこの4月から「主イエス・キリスト」という番組に2年間の予定で出演を依頼している。岩島神父様には「キリストの教会を問う」を読んで、感動し、出演を依頼した。
幸田和生 司教様は、「主の僕ですから」と仰って、1年間の放送をすぐにお引き受け下さった。4月から再放送される。雨宮 慧 神父様も「神に仕えること以外ない」と、たくさん出演してくださっている。
皆さん放送出演を快諾して下さった。このような番組が、どこの教会からも、自宅でもインターネットを通じて聴くことができる。
時 には次のような苦情のメールを貰ったこともあった。教会に行き、とんとんと進んで洗礼を受けたところ、牧師の言うことは聞かなければ ならない と指図される。こんなつもりではなかった。キリスト教は、大嫌いだという内容だったが、私から岩島師、幸田師の本を紹介したところ、読んでいる との返事を貰った。本当は求めている、ということがわかる。
FEBCはいろいろな媒体を持っているが、ラジオは肌のぬくもりを感じる、と 言われる。ささやきに近い関係が感じられる。いただいた手 紙にはいただいた内容をなぞるように、主イエスがなさっていたように返信している。聖書通信講座では、聖書について知識を増すことではなく、キリストに出 会うことを心がけている。机の上には聖書があれば他には何もいらない。聖書を読むこと、を大切にしている。
全国から様々な手紙が届いている。例えば、家人の反対で教会に行けなくなった人からは「インターネット放送が命綱」という手紙をいただいた。また元受刑者で、精神を病んだことがあり、「罪を犯した自分に救いはあるのでしょうか」という問いをいただいたこともあった。
日曜日が休日でない飲食店に勤めているので、教会に行けない、と寂しさを訴えてこられたものや、電動車いすの生活で、なかなか教会には行けないが日曜礼拝番組で礼拝している という代筆による手紙もあった。
1991 年から全国取材を続け、14年間で1600教会を回った。九州福間の牧師先生はお体が不自由でおられるが、一つの古いEFBC の封筒とガリ版刷りの番組表を大事に保管しておられた。入学の時、学校から来なくてよいと言われ、両親が教育をしてくれた。それは恵まれたことであった が、ある時、自分は何をしていたのか、両親に迷惑をかけているだけでは、と思い、死ぬことを考えた。その時にFEBCに出会った。その後、神学校へ進み、 「僕はこれで死なずにすんだ」と仰ってくださる。これはFEBCの努力ではなく、神様が生きて働いていらっしゃるということ。
FEBC50周年を記念する会を開いたとき、始まる前から、見ず知らずの参加者が楽しく談笑していた。すばらしい光景だった。この方たちが、FEBCを支えている。皆が神様を仰いでいることに支えられている、と実感した。
経営は年間8,000万円の献金ですべてをまかなっている。以前は献金が1億あったときもあった。聴取者個人からの献金がほとんどであり、6名のスタッフと4名のパートが残業手当も休日出勤手当もなく、喜んで神様に仕えている。
「ネクスト・ソサエティー」の中でピーター・ドラッガーは“この社会情勢の中で、企業は生き残れるのか、生き残れる方法はあるのか”について、「企業は生き残れる。意識が変われば」と述べており、実感している。
インターネットに取り組むとき、詳しくないからと言って外の業者に依頼すると、「インターネットの闇」に陥り、アリ地獄になる。本気で取り組めば、必ずできる。
インターネット放送は、「“教会にいらっしゃい”という手段」と安易に考えず、教会の内の人も外の人も、共に与ろう、という意識がなくてはならない。
岩島師は“教会の外に救いはあるのか”とテーマで述べておられる。教会の自己理解の変革が必要ではないか。神の救いをもたらす開かれた使命があると思う。
教会の閉鎖性を破って、新風を送り込みたい。しかし、何か停滞しているように感じている。
信仰している人の意識の中で停滞しているのではないだろうか。
14:40〜14:50 休憩・歓談
第2部
14:50〜15:00
目黒教会HP紹介 目黒教会広報部 小林氏
朝は“おはようございます”、昼間は“こんにちは”、夕方は“こんばんは”が表示されるようトップページに工夫をした。小さなことだが大切、親しみやすい。
15:00〜  パネル・ディスカッション「キリスト教ポータルサイトの現場から」
1.FEBC:小林八郎氏と、製作担当者 http://www.febcjp.com/
専門家ではない、担当スタッフが一人で作成している。4月に衣替えを予定している。HPのクオリティーを決定するのはコンテンツ、と考えで載せている。最新の課題(今はスマトラ地震)を取り上げている。
聞けるだけでなく、製品としてCDで発売しており、CD SHOPのページで注文できる。
安保さん(製作担当者)
2001年4月に女子パウロに相談に伺い、他のサイトも参考にしてとにかく自分で勉強して始めた。
このページは聞くことができるのだ、と分かるためにどうすればよいか、というのがいつも課題。
いろんなページから聞けるように工夫しているが、画面が煩雑になっており、もう少し整理したい。
2.ホーリー・リング:園田さん http://9.am/
ホーリー・リング = 奉仕であること。
元々、会計ソフトなどを作っていたが1997〜1998年頃、そのタレントを生かして福音宣教に役立つことを考えた。個人、グループのPC,HPのお世話もしていた。
ホーリー・リング発足の日:1999年広報の日 小教区HP開始の日(それまでは園田さん個人のページだった)
「よい情報を外に広めたい」という目的が、他のボランティアと同じと思ったので、インターネット関係の奉仕に関わり、多くのページを作った。(押しかけて行ったこともあった。)
「甲子園教会インターネット奉仕グループ」という名前でポスターの作成などを手がけている。小教区の外の活動については、けじめをつけないと出来ない為、有志の活動にし、名前もHoly Ring Staff とした。
※大阪教区 震災巡礼ウォーク http://1995.catholic.ne.jp/
当初から大切にしていること:
*ネットワークサービスを提供すること
通訳のボランティアグループ、大学のボランティアサークルなどなど、教会と直接関係がないが、社会的によい活動をされているグループのお手伝いをする。カトリックということで、善意のお申し込みをたくさん頂いている。それを誇りに思っている。
最近、宗教に対する厳しい目が社会にあり、私たちの先達が作ってきた良いものが失われつつあることに不安を持っている。あるキリスト教大学のHPで、キリ スト教色を出してほしくない、と言われた。キリスト教のイメージが良くないのではないか、という信徒として反省している。そのためにも社会貢献ということ を大切に考えている。
*遠隔地を大事にすること。
*ある司祭から「HPは書籍と違って、将来なくなってしまう。」という不安の声があった。
→ これからの課題:コンテンツをずっと維持していくサービス。
これはボランティアグループでできることはないので、何か基金のようなことができたらいいと思っている。インターネット経費として、100数十万円が年間 かかっており、スタッフが負担しているが、無料のサービスを維持していくため、昨年末からはカンパを受け付けている。カンパが順調にいけば、もっと安定し たサービスを継続していくことができる。
*ポータルサイトの検索について
訪れた“人間”(自動の機械ではなく)は1日数百 から 千人、検索の言葉は教会の名前がほとんどである。リンク集として利用している教会なども多い。
3.キリスト・インフォ:沢崎さん http://kirisuto.info
i)紹介:
KURISUTO.INFOは「キリスト教関係の情報検索エンジン」であり、必要事項を記入し、サイト登録すれば、確認の上すぐ登録される。確認はキリス ト教と無関係のサイトが登録されることのないように必要である。キリスト教関係かどうか、の判断は直接イエス・キリストに触れているかどうか、という点の みとし、それ以上の判断はしない。団体の内容などには関知しない。
ii)ねらい:
自ら情報発信することではなく、情報の流通、中継地点をつくること、お店のある場所を示すことを目的とし、クリスチャン、ノンクリスチャン問わず、気軽に見て頂けるようにしている。
自発的な取捨選択の機会を作る。キリスト教の幅の広さを感じて貰いたい。
これからも利用者と共に、登録情報の充実を目指したい。
iii)今後の方向性:
現在は多くの方が登録、紹介してくれている。個人的動機から、キリスト教の情報を流通させたい、ということに変わっている。サイト運営を継続させていきた い。それには、神様の助け、人の助けが必要。いずれは、グループで共同で運営していくことが必要と思う。今は帰宅後の時間だけを使っているが、続けていれ ば何か変化のチャンスがあるのではないかと思う。神様は永遠の方であるので、このサイトも継続していきたい。
レンタルのHPスペースを使っているので、できるだけ、バックアップを取っている。
iv)インターネットの特徴
ハイパーリンク・・・ 世界中の情報がインターネットでつながる。更新が可能。
点として存在していた個人が、つながっていく。未知のつながりが広がっていく可能性を秘めている。
※舟から網を下ろしなさい → 網=インターネット? と(個人的に)思っている。
4.ラウダーテ (女子パウロ):Sr.小尾(こお) http://www.pauline.or.jp
コンセプト:インターネット上で日本におけるキリスト教のポータルサイト(案内役)となることを目指している。
対象:キリスト教に興味のある人、勉強したい人、神を求めている人、洗礼を準備している人、受洗したがまだカトリックについてよくわからない人
歴史:1995年に開設した。Laudateとは「神をほめ讃える」という意味。
※この時代、まだHPがどのくらい有効か分からなかった。
1999年 9月 インターネットによる宣教を修道会の方針として決定し、「インターネットサービス」という新しい部署が誕生した。
11月 利用者からの要望により、オンライン・ショッピングを開始した。
2003年12月 携帯サイトを開設した。
2005年1月25日(聖パウロの祝日)には3Dページを開設。乃木坂の教会の中を歩ける。
教会紹介のページ:今回は目黒教会を取り上げている。
ショッピングページ:オンライン・ショッピングに関して、幼稚園・保育園向けページは会員制にしている。注文部数が多いので在庫の関係上別にしている。
サイトマップの紹介:
・キリスト教入門
・祈り
・シスターのおすすめ 何方でもお読み頂けるような気軽なものにしてある。
・修道院の生活
・アクセスターミナル(リンク集) など
人々のオアシスになりたい、という理由から、あまりシャープでない(少し野暮ったい)ページ作りをしている。
携帯サイト:2003年12月に開設。
開設の理由:今、メールの1/3は携帯からのメール。それだけ携帯の利用が多い。“毎日 いつでも どこでも”ラウダーテを携帯で見たい、という要望があったが、実際にどのように使われているかは分からなかった。しかし、とにかく始めた。
2004年メニュー
i)聖人カレンダー
ii)日めくりカレンダー(晴佐久神父)
iii)マザー・テレサ 365日
2005年メニュー
i)聖人カレンダー
ii)祈りの泉
iii)マザー・テレサ 365日
病院(携帯が許されているところ)の方から、毎日読んでいる、という声があった。
携帯でもオンライン・ショッピングを、という声もあるが、今のところ人的にも余裕がない。
<インターネットと宗教>
従来のカトリック教会のコミュニケーションはフェイス・ツー・フェイスが基本であった。
インターネットの悪い影響は、米国においてネットで集まった信者が集団自殺した例などがあるが、一方、教会に行くことができない環境にある人にとって、救いとなっている。
他宗派の例では、例えば愛宕神社のバーチャル参拝がある。実際に階段を上ることができない、というお年寄りに向けて作ったのが始まりと伺った。→ラウダーテでも、3D聖堂紹介を作っている。

16:30 パネル・ディスカッション
Q1:園田さんへ ホーリー・リングの現在の運営(人材)について
園田氏:プロばかりではない。HP教室に行って勉強していただいた。それぞれのタレントを生かして、働いていただける範囲で、人数は5,6人程度。
Q2:自分の手がける教会HPでは、苦情などの対応が難しいので、eメールアドレスを公開していない。このことについて
a.教会のイベント写真の公開について:制約をつけるべきか
b.教会誌について:生々しい情報があるので、パスワードなどを設けるべきか 

Sr.小尾:
修道会ということもあり、人生相談がある。中傷メールもある。
4/1からの個人情報保護に関する法律施行により、「このeメールアドレスについては、・・・」 という一文を入れるとよいでしょう。
写真については、あまり気にしていないが、気にされる方のものは載せない方がよい。幼稚園などは注意しているところがほとんど。
パスワードについては、選びだと思う。どちらも長短ある。
沢崎氏:
直接アドレスを入れない。拾われて悪利用されることがある。
写真は載せないか、本人が特定できないようにする。(解像度を下げる)
パスワードは選び。教会のページは別にすることも可能と思う。
園田氏:
クリックすればメールのフォームが出てくる形にしてアドレスはわからないようにしているが、メールは大切と思う。相手方のためではなく、自分たちが成長すると思う。
写真は、個人写真は載せない。小教区での話合いでは、イベント写真は載せることにしている。洗礼式などは載せるべきではない。
Q3:昨年11月より園田さんのご協力でHP立ち上げたが、技術的な質問がある。
接続サービスについて、無料で利用できるものなど情報はないか。
園田氏:無料は無理と思う。
Q4:掲示板が12月に攻撃を受けた。そういうものに強い掲示板があるのか。
また各教会にHP等に強い人がいるとは限らない。カトリック教会の中で、相談に乗ってくれるところはないか。宣伝方法も含めて教えていただきたい。
沢崎氏:攻撃に対抗方法としてはパスワード、登録制にすることか。(教会の人だけでなく登録は可能にすれば壁にはならないのでは。)
宣伝については、検索エンジンに登録することも考えられる。
Sr.小尾:掲示版はしていない。
検索エンジンは、教区のHPの紹介ページに頼るのがいいのでは。楽天などでは、教会の色は、でないのではないか。
意見:CCネットの運営をしている。HPを作っている青年が集まって、相談をしている。
セミナーの方で、相談ページのプロジェクトチームを設けてみることを提案したい。
Q5:CCネット:css → xhtml への移行はどのようになっているか。
園田氏:教会の中で詳しい人がいない。相談ページについては中核になる人が必要なので、大変なこと。提案された方が、始めて下さると嬉しい。
沢崎氏:相談できるところがあると嬉しい。
移行の件は、まだ本格的に対応していない。問題が起きてから対応すればよいのでは。
Sr.小尾:技術的なことは外部委託。継続させていくために、コンテンツを大切にし、技術は外部に任せることを徹底しているが準備には半年かかった。
資金については、宣教が使命であるので、惜しまない。
17:25 閉会 まとめ Br. 阿部
晴佐久神父 アンケートのお願い、懇親会のご案内
お祈り 主の祈り
17:30 懇親会  司会:晴佐久神父
参加者38名、会場をホールに移して軽食と飲み物。

19:30 片付け、解散
以上

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